最近ベルマークを集めています。
これを近所のスーパーのベルマーク箱的なものに入れておくと
近くの小学校に送られる仕組みになっているのです。
ベルマークを眺めていると、
青い血が流れていると評判の私でも
やはり皆さんと同じように小学生時代の思い出がみるみる蘇ってきます。
私の小学校ではベルマーク集めがクラス対抗形式になっていて
各々の生徒が何点分のベルマークを集めていたか集計して
その表が教室に貼り出されたりもしていました。
私の家は三人兄妹で
やはりベルマークも三等分するわけで、
そうするとどうしても献上できる点数が少なくなってしまうんですよね。
特に自意識の強い私のことですから
ティッシュについているベルマークだなんて生活臭のするものは
公共の場に提出することができず、
菓子類はアリ、マヨネーズは微妙! とベルマークの選り好みをしていたら
余計に兄妹間での取り分が少なくなってしまい、
イベント事に熱いクラスメイトたちに
「1組に負けたらオマエのせいだかんなー!」
等と罵倒されたりしたものです。
熾烈を極めるベルマーク戦争の中で
一気にスターダムにのぼりつめるヤツといえば、写真屋の息子です。
フィルムについているベルマークはすごく点数が高いんですよね。
一点だとか二点だとかのベルマークを庶民がしょぼしょぼ集めている間に
写真屋の息子は一枚14点というテポドン並みのベルマークを大量に提出します。
普段はパシリになっている彼でも
この時ばかりは5年2組の最高司令官になれるのです。
ところが、戦争が長期化するにつれ
写真屋の息子すらひれ伏す相手も出てきます。
それはYAMAHAのピアノを買ってもらった金持ちの娘に他なりません。
なんとYAMAHAのピアノのベルマークは
一枚で100点分という信じられない点数がつけられているのです。
長い目で見れば写真屋の息子の敵ではないのですが
一枚100点というビッグバン級の数字は
小学生間で抜群のカリスマ性を誇ります。
小学生の心のサザビーでは史上最高の値段がつけられる
YAMAHAのピアノのベルマーク。
ベルマークが欲しいがために
親にグランドピアノをねだった級友が何人いたことでしょうか。
ベルマークは子供を狂わせるのです。
クラス内カーストを激しく入れ替えたベルマーク戦争も
やがては終結の時を迎えます。
血と汗と涙を吸ったベルマークが無事財団に渡され、
今までの苦労が真に実るのです。
ご存知の方も多いとは思いますが、ベルマークは一点一円に換算され、
学校の備品と交換できるシステムになっています。
職員室に放置されていた交換カタログを見ては
「ふむふむ、大きい三角定規は意外と高いんだなぁ。」等と
新品の教育用備品に思いを馳せていた夢見る小学生の私に、
容赦なく第二の試練が訪れます。
あろうことか、私の学校ではベルマークをすべて一輪車と交換したのです。
よりにもよって一輪車!!
オール一輪車!!!
あんな危険極まりない、
乗れたところで何の意味もない、
というかそもそも運動音痴の私は100%乗れない
文化系少年少女の敵以外の何者でもない悪魔の乗り物が
校庭の隅にずらりと並び、ピカピカと輝いている光景に
この先待ち受けるさらに過酷な未来を見出した私は、ひっそり白目を剥きました。
YAMAHAのピアノ少女がクラスのアイドルでいられた時期は無情にも終わりを告げ、
これからは一輪車に乗るのが上手い人から順に
クラス内カーストがまたしても総入れ替わりすることでしょう。
どちらにしろ最底辺に位置することになった私は
ただただ現実との距離を広げるしかなかったのでした。
あれから10数年。
私のベルマークは今度こそ一輪車と交換されることのないよう、
切に願うばかりです。
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